缶詰の常套句

万年筆とか写真とか。

温泉マニアことはじめ〜新潟編

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9月末に新潟旅行をし、その温泉巡りのことを書こう書こうと思っていたのだが、気付いたら年が明けていた。3ヶ月も経ってしまうと、温泉を描写する言葉に事欠くものだ。感覚的なことはなるべく早く書き留めなければならない。覚えておこう。

燕温泉 黄金の湯

 冬季は雪に閉ざされる、憧れの野湯。アクセスは最悪である。が、憧れの野湯なのだから何がなんでも行くのである。

 大阪から夜行バスに乗り、上越木田のバス停で降りる。ほとんど人が降りないバス停であり、高速道路みたいなとこの上にあり、5時台で真っ暗で雨が降っており、怖い。バス停の奥に階段に繋がる扉があり、降りて行くと地上に出る。傘も土地勘も無い中、最寄りの春日山駅まで歩く。結構遠い。その駅で朝飯を食いながら1時間待って、関山へ。関山からはバスだが、また1時間待ち。バスは片道500円かな。
 燕温泉に着くと、小さな温泉街を抜け、山っぽい道を少し歩けば黄金の湯に着く。本当は絶景と名高い河原の湯まで行きたかったのだが、帰りのバスの時間を考えるとここしか行けなかった。
 冒頭の写真はここである。堂々と風呂の写真が撮れることもそうない。完全に無人でロッカーなどある筈もないので泥棒がちょっと心配だったのだが、脱衣所が湯の中から見えるのでその点は取り越し苦労だった。

 さて、小雨が降りクソ寒い中いよいよ入浴。湯温は低いがじっくり浸かれば温まる。白い湯、硫黄の香り、落ち葉。一度野湯に入ってしまうと、あらゆる露天風呂が馬鹿馬鹿しく感じそうだ。
 有志で管理されている無料の温泉。入り口に寄付金の箱が置いてあったので、良い思いした分だけ置いてきた。

兎口温泉(松之山温泉)

 まつだい駅からバスに乗って歩いてもいいが、旅館の人に言えば駅まで車で来てくれる。今回は美人林を見たかったのと、大棟山美術館に周りたかったのでバスにした。

 こちらは世にも珍しいジオプレッシャー型温泉である。日本の多くの温泉は火山のマグマに暖められているのだが、ジオプレッシャー温泉は、大昔に地下深くの岩盤の隙間に入り込んだ海水が、山ひとつ分の圧力によって沸騰し、岩盤の裂け目を通って山の上に湧いたもの、とのこと。戦後はこの温泉から塩を作って配ったりもしていたらしい。

 111年間の積雪に耐えてきた薄暗い木造の湯殿。湯船は湯と一体化している。何を言っているか分かr(ry 湯が湯船と一体化しているのである。舐めるとかなり塩辛く、苦味もある。これが太古の海なのである。感動。
 熱い湯船とちょうどいい湯船があり、熱い方は文字通り火傷するぐらいだったのだが、こんなことは今年が初めてであるらしい。敷地内の露天風呂は閉鎖されており、松之山の方は先の地震以来出なくなった宿があったりもし、いつまで入れるか分からない、奇跡のような温泉である。朝入った燕温泉の硫黄の臭いが体からすっかり取れ、湯上がりに肌を舐めるとほろ苦くなる。何だろう、この、温泉に染められていく感じ。温泉マニアってのはこういう楽しみなのかなあ。

新津温泉

 お次は油温泉。油田を掘っていたら沸いたというのだからすごい。今回回った中ではかなりアクセスの良い方で、新潟からほど近い新津駅を降り、徒歩15分程度。見た目は普通の銭湯である。
 中に声をかけるとおばあさんが出て来て、何を言っているかサッパリ分からなかったが、料金を払って風呂場に案内してもらう。入り口から何故かめっちゃ遠い。入っているのは常連さんばかり。 石油臭と聞いているが、実のところ石油の臭いをほとんど嗅いだことがない。浴室の扉を開けると確かにとんでもない臭いがするのだが、これが石油なのか、という感じ。

 ざっとかけ湯して入ろうとしたら、常連さんに「股をよく洗え」というようなことを(聞き取れなかったが)言われ、出直す。いざ浸かると臭いがすごい。胸が悪くなるような臭いではないが、温度が高めなので長時間は入れなかった。ハマる人はハマるらしいが、おそろしいものの片鱗を味わった、という感慨を得てあがる。
 脱衣所で「飲んだ?しょっぱいよ〜〜」と言われたが、飲んだら死にそうで怖い。

 諸々の荷物事情で、タオルを鞄に入れられなかったのだが、温泉を出るとタオルがとんでもない油臭が発散している。多分、自分の体からも同じ臭いがするのだろう。電車に乗るのがあんなに恥ずかしかったことはない。しかし、なんとなく勲章のような気分だった。はた迷惑だなあ、旅人ってのは。

月岡温泉

 で同日の宿泊は月岡温泉。なんか有名なとこらしいし、簡単に行けるっしょ、と思っていたが、どういうわけか暗闇の中を月岡駅から1時間歩いて行くことになった。まあ、駅からほぼ一本道なので迷うことはないのだが。

 さて、硫化水素だか、油を薄めた感じだか、と言われる湯に入る。が、熱い。なんの巡り合わせか、とにかく熱い。コソコソと水でうめてなんとか入れる温度にさせてもらったが、熱いことこの上ない。なんだかよく分からん、という感想。体の油臭は脱臭されたような気がするし、皮膚はなんとなくツルツルした。その後、飲み屋で教えてもらったのだが、泊まった旅館は泉源に近いとこなので月岡の中でもとりわけ熱いらしい。
 翌朝、原泉の社とかいうところで温泉を飲んでみたが、今まで口に入れたものの中で一番不味かった。誇張ではない。とにかく苦いというか、強烈というか。新津温泉を飲まなくてよかったのかもしれない。


 そんなこんなで、四種類の温泉を経巡り、それぞれのお湯が体(の少なくとも表面)にビシバシ異なる影響を与えまくるという稀有な体験をし、立派な温泉マニアになれるよう金を稼ごうと思った次第である。